成人の日

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ドドン!!

えーっ!
テッペンをまわっておりますんで、昨日の話になってしまいますがね!
ここで、小噺を・・・。

まぁ、1月も10日になりますと、
世の中のハタチの若者が、大人の仲間入りを果す、
いわゆる成人の日ってヤツですなぁ!

かれこれ、ワタクシも、
かなり前に体験した人の、1人ですがね!

まぁ、長屋がある時代にも成人の日のような出来事
なんぞあったんでしょうかねぇ?

ある日、書道教室をしている、まぁ、漫画に出てくるような白髪の先生がおりまして、

さむ~い朝に、外の掃除をしておりますと、長屋で、世話好きな、はっつぁん所のヨメさんが、井戸に水をくみにくるついでに、話しかけてきた。

「先生!おはようございますぅ!」

「おはようございます。
朝からセイが出ますなぁ!ワタシなんぞは、書道人のくせに朝から手が、かじかんでおりましてなぁ!」

「そう言えば先生!
もうじき ウチの馬鹿
ムスコが、ハタチになるからって、寺行って手を合わせてくるだぁ!って、
誰に聞いたんだかさぁ、 いっちょまえに、言って
やがんだよぉ!もう、
ひとりで、朝からバタバタしておるんですわ!
まったく、手を合わせたって ウチが良くなるわけでもねぇから、銭使うな!って言うんだけど、聞かねぇんだよねぇ、馬鹿だから!
アイツは!」

「ほぅ! もうハタチになりましたかぁ! 早いもんですなぁ! まぁ、寺で、
拝む事は、悪い事では無いですからなぁ! たまには良い事ですぞ! そうだ!
ムスコさんに寺に行く前にウチに寄るよう言ってくださいな! 何か祝いモノでも!」

「えっ? 先生?今、何言ったんだい?
ウチの馬鹿ムスコに、祝いモノ? またまた、冗談な事を!
あんなムスコに、祝いもんあげても、何もわかりゃしないですよ!」

「いえいえ、いいんですよ! ワタシも、あまり、
たいしたモノはあげられませんかな!(笑)」

「先生! そりゃあ? 高いのけ?」

「こりゃこりゃ!大人が、そんな事を言ったらバチがあたりますぞ!」

「先生には敵わないねぇ!!(笑)」

しばらくしますと、

その長屋の馬鹿ムスコ!!いや、もとい! ハタチをむかえてイキイキとした、はっつぁん所のムスコが、先生の所にやってきました!

「先生! 御呼ばれしたから来ましたが、なんでしょう?」

「おぅ! 本当に、しばらく見ないウチに大きくなってぇ!
呼んだのは、ハタチの祝いをやろうと思って呼んだんじゃ!
まぁ、中に入ってきなさい!」

「へい! じゃ、おじゃましますよぉ!」

「それじゃ 手の裏を出して!」

「へぃ!」

「それじゃぁ、失礼して、」

「えっ? おいおい、先生!書道じゃねぇんだし、墨で書くって何すんだぃ!
これから寺行くのに、汚れちまうだろ?」

「まぁ、こんなもんで良いじゃろ。」

「先生!なんだい?
この2つの円は? 冗談は、よしてくれよ!」

「これが、ワタシからの祝いモノじゃよ!」

「えっ? 食べ物とかじゃねぇんかい?」

「食べ物だと思ったんかい? まだまだ子供じゃのう!(笑)」

「なんだい! 寄って損した!オレ、寺行くんで!
ほんじゃ!」

「また、お茶でも飲みに来なさいよ!」

「はい!はい!」

ブツブツ文句を言いながら寺に向かっていると、

前から、トンチにかけては、ずば抜けた住職が、
やって来て、手に書かれた2つの円を、チラリと見たわけですな。

「急いでいる所、申し訳ない!そんなに急いでドコに行くですか?」

「なんだい!坊主かい!
こんなオレでもハタチに、なったんだぁ! だから寺行って拝みに行くんだよ!急にとめて、何なんだい!」

「いや、アナタの手に書いてある2つの円が気になりましてな!」

「あーっ、これかい?
さっき祝いだとかで、長屋の書道の先生が書いたんだ! こっちは、食べ物でもくれるのかと思ったら、
手を汚されただけだったんだよ! まったく、何考えてんだか!」

「ほぅ、それは、面白い。その書道家も イキな事をしますなぁ!」

「えっ? イキな事?」

「そうですよ! 2つの円ですからなぁ!」

「なんなんだい! わからねぇじゃねぇかぁ!」

「アナタも、ニブイですなぁ!」

「だから何だよ! 気になるじゃねぇか!」

「2つの円で、2重ですよ!

そう、あなたは、
20と言う名のハタチですよ!(笑)」

「・・・。」

「それでは、失礼いたしますぅ!」

肩を揺らしながら住職は、去って行きました。

「・・・。

あのオヤジ、イキナ事しやがって!!」

笑顔で寺に向かう、
馬鹿ムスコなのでした。

新成人の方々、おめでとうございます!!
イキナ人生にしてくださいませ!(笑)